みなさんこんにちは! 観光情報サイト「旅狼どっとこむ」の旅狼かいとです!
イギリスでは、「政治はウェストミンスター(Westminster)」「経済はシティ(City of London)」と役割分担をされており、その歴史も非常に深いです。
今回は、そんなイギリス政治の中心地でありNo.1観光スポットとも言える「ウェストミンスター」についてご紹介していきます!
宮殿や寺院などが立ち並ぶエリアの歴史や見どころ、料金や内部への入場時間、世界遺産についてなどをお届けします。ロンドンへ旅行する方はぜひ参考にしてみてください!
ウェストミンスター(Westminster)の歴史
まずはじめに、知っておくと旅行がもっと楽しくなること間違いなしのウェストミンスターの歴史をみてみましょう!
ウェストミンスターの発祥
伝説上のウェストミンスター発祥は、ローマ時代ごろまでテムズ川にあったとされる小さな島(または浅瀬)「ソーニー島 (Thorney Island) 」に「ウェストミンスター寺院(Wstminster Abbey)」が建立されたこととされています。
少なくとも、ローマ帝国がブリタニアを放棄し、デンマークや北部ドイツ周辺にいたゲルマン人がブリテン島に移住して「アングロ・サクソン人」と呼ばれるようになった5世紀ごろには、何らかの建物が現在のウェストミンスターの地にあったとされています。
確認されている史実に基づくと、1016年にイングランド王に即位しその後デンマーク王とノルウェー王も兼ねた「クヌート1世(Canute / Knut I)」が、初めてウェストミンスターに立つ建物を宮殿として利用したとされています。
イングランド王の住居として
正式な記録によると、「エドワード懺悔王(Edward the Confessor)」によって1065年にウェストミンスター寺院が、翌年に寺院に併設する形でウェストミンスター宮殿が建てられたとされています。
そして、1066年にエドワード懺悔王が崩御すると後継者を争う戦いが勃発。「ノルマンディー公ギヨーム(Guillaume)」が”ノルマン・コンクエスト”と呼ばれる征服戦を制し、イングランド王「ウィリアム1世(ウィリアム征服王(William the Conqueror))」として即位しました。
このウィリアム1世がロンドン塔からウェストミンスター宮殿に住居を移して以降、宮殿は王の住まいとなったのでした。
イングランド政治の中心地として
1295年11月に開催されたイングランド初の議会「模範会議」がウェストミンスター宮殿内で開催されて以降、宮殿は王の居住地であると同時にイングランド議会の場となりました。
多くのイングランド政府の公共施設も宮殿の周辺に建設され、ウェストミンスターは現在に至るまでの1000年近くもの間、イングランド政治とのちのイギリス政治の中心地となっていくのです。
世界遺産に登録された理由
ウェストミンスターからは、宮殿と寺院(修道院)、併設する聖マーガレット教会が1987年に世界遺産に登録されています。
中世のイギリス建築に影響を与えただけでなく、イギリスゴシック建築の段階を示すとともにゴシック・リバイバル様式という新たな建築様式によって文化的交流を生み出したとされる点、ウェストミンスターの建造物群そのものがイギリスならではの立憲君主制の歴史を表現している点が評価されています。
「ウェストミンスター」の名前について
「ウェストミンスター(Westminster)」という名前は、ウェストミンスター寺院を指す「セントポール大聖堂の西にある大寺院(修道院教会)(West Minster)」という言葉に由来します。もともとは、この地域の発祥である寺院単体を示した名前だったのですね!
その後、寺院周辺の地域の呼び名として「ウェストミンスター(Westminster)」が定着し、1965年の行政区の大改正で「シティ・オブ・ウェストミンスター(City of Westminster)」として地名に組み込まれることとなりました。
現在では、各英国政府官庁や海軍本部、首相官邸などが並ぶ「ホワイトホール(Whitehall)」と合わせて、「ウェストミンスター」という言葉はイギリスの議会や政界を意味する言葉としても使われます。日本でいう「永田町」や「霞が関」のようなイメージですね!
ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)
それではここから具体的に、ウェストミンスターの観光名所をご紹介していきます!
最初に取り上げるのは、ウェストミンスター発祥のきっかけとなった「ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)」についてです!
※「ウェストミンスター寺院」は「ウェストミンスター修道院」と呼ばれることもあります。ここでは「ウェストミンスター寺院」と統一してお話ししていきます。
ウェストミンスター寺院の歴史
上述の通り確認されている史実では、1065年にエドワード懺悔王が現在の姿のもとになる大寺院を建立したのが、ウェストミンスター寺院の始まりとされています。
このときお隣のウェストミンスター宮殿も建てられたのですが、その目的は寺院の建設状況を見るためだったそうです。現在では宮殿がメインの見どころとなっていますが、歴史をたどると寺院の方が大元なのがなんとも面白いところですよね!
現在のウェストミンスター寺院はゴシック様式の建築物として有名ですが、これは1245年から、ヘンリー3世が当時フランスで流行していたゴシック建築を取り入れようと改装したことがきっかけです。その後、歴代の国王や国に貢献したと認められた人物を埋葬する場所となり、ゴシック以外にも各時代の様々な建築様式で増改築されています。
そのため、本来は東に置かれる教会で最も神聖な場所である聖域や主祭壇が、ウェストミンスター寺院では中央やや西寄りに位置しているという珍しい構造になっています。
王の戴冠式の場
ウィリアム1世(ウィリアム征服王)になされたノルマン・コンクエスト以降、エドワード5世とエドワード8世を除くすべてのイングランド王(のちのイギリス王)が、寺院内の「エドワード懺悔王の礼拝室」で戴冠式をおこなっています。
かつてこの礼拝室には、「運命の石」と呼ばれる「スクーンの石(Stone of Scone)」がはめ込まれた戴冠式用の玉座が置かれていました。スクーンの石はスコットランドから戦利品として略奪してきたものであり、この石の上で代々スコットランド王が戴冠式を挙げていたことから、スクーンの石はスコットランド王の象徴とも言えるものでした。
そんなスクーンの石の上でイングランド王が戴冠することで、暗にイングランドがスコットランドを支配していることを示していたと考えられています。
スクーンの石は1996年にスコットランドに返還され、現在はエディンバラ城で保管されていますよ!
国王や偉人の埋葬地
ウェストミンスター寺院には、リチャード3世を除く13世紀~18世紀のすべてのイングランド王・イギリス王が埋葬されています。
また、歴史に名を残す人物たちも寺院に埋葬されたり記念碑が立てらたりしており、万有引力を発見者した自然哲学者「アイザック・ニュートン」や、著書『種の起源』において自然選択の理論を発表し、現代生物学の基礎を築いた「チャールズ・ダーウィン」、世界的に読み続けられている『オリバー・ツイスト』や『クリスマス・キャロル』の作者「チャールズ・ディケンズ」などなど、名だたる偉人たちが埋葬されています。
現代においても、ダイアナ妃の葬儀が執り行われたり、ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚式を挙げたりと、王室と密接な関係にある教会です。その白亜の姿も相まって、まさに“王室の教会”と呼ぶに相応しい寺院となっていますよ!
※2022年9月8日に逝去したエリザベス女王(エリザベス2世)の国葬も、ウェストミンスター寺院で執り行われる予定となっています。
アビー(Abbey)という名前について
ちなみに、キリスト教の建物につく「大聖堂(cathedral)」と「寺院(abbey)」の違いは、「カトリック」か「プロテスタント(or カトリック以外)」かの違いです。cathedralはカトリック、abbeyはプロテスタントをはじめとするカトリック以外の宗派の教会を指しています。
とはいえ最近は、プロテスタントの教会でも比較的大きなものは「大聖堂」と日本語訳されているそう。建物の歴史や背景、文化を知るのであれば、やはりその国の言語も一緒にチェックするのが一番だと個人的には感じますね…!
聖マーガレット教会(The Anglican church of St Margaret)
ウェストミンスター寺院に行ったら、併設されている「聖マーガレット教会(The Anglican church of St Margaret)」もセットで見ておきたい世界遺産です!
現在でも礼拝が行われており、結婚式場として使用することもできます。イギリス元首相ウィンストン・チャーチルもここで挙式した歴史があります。
運が良ければ、観光の際に英国紳士&英国淑女のおめでたいシーンを見ることができるかもしれませんよ!
ウェストミンスター寺院の観光地情報
ウェストミンスター寺院の開館時間や料金、アクセスは以下の通りとなっています。
開館時間
9:30~13:30(水曜日のみ18:00まで)
休館:日曜日
※最終受付は閉館の1時間前まで
※日によって開館時間が変わることが多いので、訪問前にホームページなどで時間を確認するのがオススメです
料金
・大人(18~64歳):£25
・学生・シニア(65歳以上):£22
・子ども(6~17歳):£11
・幼児(0〜5歳):無料
アクセス
・ウェストミンスター駅(Westminster)から徒歩3分
・ウィータール—駅(Waterloo)から徒歩で約18分
ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)
それでは、ウェストミンスター観光はもちろんロンドン観光でもメインの見どころとなる「ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)」のお話をしていきましょう!
ウェストミンスター宮殿の歴史
ここまででも少し触れていますが、改めてウェストミンスター宮殿の歴史をお話ししていきます。
王宮としていつ建てられた?
ロンドン市内を流れるテムズ川沿いに建つウェストミンスター宮殿は、今日でもイギリスの国会議事堂(House of Parliament)として使用されている建造物です。
成り立ちについてはすでに上述したように、エドワード懺悔王によって建てられた際はあくまで寺院に付属する形でしたが、ノルマン朝を開いたウィリアム1世によって王の居住地とされると、その後宮殿として使われ続けていきました。
ちなみに、現在のウェストミンスター宮殿にはウィリアム1世以前の王によって使用された建築物は残っておらず、宮殿における最古の部分は次代のウィリアム2世によって建造されたものだそうですよ!
議事堂としてはいつから使用され始めた?
今ではすっかり”国会議事堂”というイメージが定着しているウェストミンスター宮殿。”議会の場”として最初に使用されたのは、1295年に設立された「模範議会」の時だったと言われています。
模範議会はイングランド史上初の議会とみなされていますから、ウェストミンスター宮殿はイングランド(のちのイギリス)における第一回議会から使用されていると言えます。そう考えると、文字通り”イングランド政治の歴史はウェストミンスターとともにある”と表現できますよね!
その後1529年にロンドンで火災が発生したことを機に、ヘンリー8世がヨーク宮殿を「ホワイトホール宮殿」と改名して宮殿としました。以降、王の実質の居住地がホワイトホールへと移動し、ウェストミンスター宮殿は議会と裁判所としてより明確に使用されることとなっていきます。
ゴシック・リバイバル様式を用いて現在の姿に
1834年に起こった火災により、宮殿はウエストミンスター・ホールなどを除くほぼ全てが焼失してしまいます。イギリス政府はこの機会に、新たな国会議事堂の建設を計画します。
古典様式を好む一派が根強く残る中、若手建築家「オーガスタス・ピュージン」がキリスト教と関わりの深いゴシック様式を用いた計画を提案。採用されたピュージンの計画を建築家「チャールズ・バリー」が「ゴシック・リバイバル様式」として設計・建築しました。
特に外観は、議事堂としての威厳を与えるためにテムズ川を挟んだ対岸からの眺めに重点が置かれたといいます。まさに現在のウェストミンスター宮殿が、その素晴らしさを物語っていますよね!
今後、議会は移転予定
現在ウェストミンスター宮殿は、老朽化による雨漏りやアスベストの問題、絡み合った配線や蒸気管による火災の危険など建築上の問題を抱えており、2018年2月に議会を引き払って場所を移すことが決定しています。
下院はホワイト・ホールのリッチモンド・ハウス、上院はパーラメント・スクエアに立つクイーンエリザベス2世センター(QEII Centre)に移転する予定とのことですが、早くても2025年ごろになるそうです。
完全に議会が移転すると、ウェストミンスター宮殿はいよいよ”遺産”として残っていくことになるのでしょう。逆に、”現役の議会がある宮殿”というのは世界でもそうそうありませんから、移転前に見ておきたい方は早めにロンドンへ行くことをオススメしますよ!
※イギリス英語では”center”の綴りが”centre”になります! 誤植じゃないですよ!笑
ウェストミンスター宮殿の観光地情報
では、ウェストミンスター宮殿の内部見学のチケット購入方法や料金をご紹介します。
チケットの購入方法
オンライン予約か現地のチケットオフィスで購入する2種類
【オンライン予約】
こちらの公式サイトをご覧ください
【チケットオフィスの営業時間】
・月〜金曜日:10:00~16:00
・土曜日:8:45~16:45
・日曜日:休み
開館時間
入場はガイドツアーでのみ可能
・土曜日の9:00~14:15に15分~20分おきで開催
・フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語は当日指定の時間に開催
・夏季(7月末~8月末)は月~金曜日も開催される
料金(スタンダード)
・大人:£28(£25.50)
・学生・シニア(60歳以上):£23(£21)
・子ども(5~15歳):£12(£11)
※()内はオンライン購入時の値段
※コースによって料金は変わってきます
アクセス
・ウェストミンスター駅からすぐ
・ウォータールー駅から徒歩約16分
ビッグ・ベン(Big Ben)
ウェストミンスター宮殿に付随する形で立つのが、「ビッグベン(Big Ben))」の愛称で親しまれる時計台(時計塔)ですね! もともと鐘単体を指して「ビッグベン」と呼んでいたそうなのですが、いつの間にか塔全体を示すようになったといいます。
2012年にはエリザベス2世の在位60周年を記念して、正式名称が「グレート・ベル(クロック・タワー)」から「エリザベス・タワー(Elizabeth Tower)」に変更されました。
ビッグベンの歴史
ビッグ・ベンは、1834年に焼失したウェストミンスター宮殿を再建する際に、チャールズ・バリー設計のゴシック・リバイバル様式によって建てられた時計台です。1859年に完成した当初は、”一日の誤差が1秒以内”という世界一正確な時計でした。
また、大時計の文字盤の下には、金文字のラテン語で “DOMINE SALVAM FAC REGINAM NOSTRAM VICTORIAM PRIMAM” (「主よ、我らが女王ヴィクトリアに御加護を」)と刻まれています。これは完成当時に帝位についていたヴィクトリア女王のことを賛辞した言葉ですね!
毎年、夏時間と冬時間を切り替える際に時計を止めて部品の補修や交換、鐘の調律などが行われていましたが、2017年8月21日から2022年1月まで大規模な修繕工事を行いました。初めて鐘の音が鳴り響いた1859年から数えても、ここまで長期的に鐘の動作が停止するのは今回が初めてだったそうですよ!
ビッグベンの鐘の音と学校のチャイム
毎日正午にビッグベンが奏でる音は、「ウェストミンスターの鐘(Westminster Quarters, Westminster Chime)」と呼ばれており、1927年にウェストミンスター寺院のために作曲されたものだそうです。
実はこの鐘の音、日本にとても馴染み深いものとして有名です。というのも、この「キーン、コーン、カーン、コーン」というウェストミンスターの鐘が、日本の多くの学校や職場で流れるチャイムの音階に使用されているのです!
本当にそのままチャイムの音なので、聞けばきっと懐かしい想い出が蘇りますよ!
ビッグベンへのアクセス
・ウェストミンスター駅(Westminster)からすぐ
【セール中のホテルをBooking.comでチェック!】
Booking.comロンドン・アイ(London Eye)
最後に、歴史あるウェストミンスターにおいて数少ない現代的な名所「ロンドン・アイ(London Eye)」についてご紹介します!
ロンドンアイの概要
「ロンドンアイ」は、イギリスのミレニアムプロジェクトの一環として1999年末に開業した巨大観覧車です。開業当初は世界で一番高い観覧車としてギネス記録を更新しましたが、現在はヨーロッパ最高、世界6番目の高さを誇ります。
そんなロンドンアイ、設置後も移設ができるように設計されており、当初は5年間だけの営業予定だったそう。現在は今の場所での恒久的な営業許可が出され、2015年からコカ・コーラがスポンサーを務めています。その関係で正式名は「コカ・コーラ・ロンドン・アイ(Coca-Cola London Eye)」となっており、日暮れ後のライトアップの色がもともと青だったものから赤に変わっていますよ!
ロンドンアイの観覧車は、ホイールの外にカプセル型のゴンドラが32個突き出した形となっており、カプセル1個あたりの定員は25人。一周約30分間の空の旅を楽しみながら、ロンドンの街並みを一望することができます!
チケットは普通券のほかに、列を大幅にスキップできる”ファストチケット“や周りの観光地とのコンビネーションチケット、さらにはシャンパンが飲めるチケットなど多くの種類が用意されています。ウェストミンスター宮殿と同じように、オンラインストアで購入すると割引がきいたり使用日時の制限が広かったりとお得ですよ!
ロンドンアイの観光地情報
では、ロンドンアイの営業時間や料金、アクセスを見てみましょう!
営業時間
・4月上旬~6月:10:00~21:00(金・土曜日は10:00~21:30)
・7月~8月、3月下旬~4月上旬:10:00~21:30
・9月~3月下旬:10:00~20:30
・休館:12/25
料金(スタンダート)
・大人(16歳以上):£36
・子ども(3~15歳):£32.50
・幼児(3歳未満):無料
・ファストチケット:£51
※オンライン予約の場合は10%引き
アクセス
・ウォータールー駅から徒歩で約5分
・ウェストミンスター駅から徒歩で約7分
ウェストミンスター まとめ
ということで今回は、ロンドンのウェストミンスター地区の観光スポットをご紹介してきました!
白亜のウェストミンスター寺院に荘厳なウェストミンスター宮殿とビッグベン、市街を一望できるロンドンアイは、イギリス一の観光名所と言っても過言ではないでしょう。休日には、ウェストミンスター橋やウェストミンスター寺院近くで、バグパイプの演奏がなされたりお土産やお菓子の出店が開かれたりと、ちょっとしたお祭りのような雰囲気にもなっていましたよ!
観るもよし、聴くもよし、歩くもよし、感じるもよし。アクセスも非常に便利ですから、イギリス旅行・ロンドン観光の際にはウェストミンスターへ立ち寄ることをどうかお忘れなく!
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