みなさんこんにちは! 観光情報サイト「旅狼どっとこむ」の旅狼かいとです!
今回は、イギリスのロンドンから世界遺産「ロンドン塔(Tower of London)」をご紹介していきます!
ロンドンに数ある観光地の中でも、重厚な歴史と多くの見どころをもつ人気の観光名所なのですが、多くの王族関係者が幽閉され処刑された場所でもあり、少々曰く付きのスポットでもあります。
「幽霊も出る…」なんて噂されるそんなロンドン塔について、旅行前に知るともっと観光が楽しくなること間違いなしの歴史や見どころ、開場時間や料金などをお届けしていきます! ぜひ参考にしてみてくださいね!
ロンドン塔(Tower of London)の歴史
まずは、ロンドン塔の歴史をご紹介していきます。
ロンドン塔の建設
テムズ川河畔に立つロンドン塔の始まりは、11世紀後半にウィリアム1世(ノルマンディー公ギオーム)が建てた要塞施設になります。
ウィリアム1世は、エドワード懺悔王(Edward the Confessor)の後継争いに勝利してイングランドを征服した「ノルマン・コンクエスト」を達成した人物であり、「ウィリアム征服王(William the Conqueror)」とも呼ばれるノルマン朝を立てた王です。
ウィリアム1世はノルマン人の力を見せつけるために、創建当時のロンドンで最も高い建築物を建てることを決意。1078年から10年の歳月をかけて石灰岩で建てられた塔は「ホワイト・タワー」と呼ばれ、要塞としての機能とノルマン王朝の首都への玄関口としての機能を併せ持っていました。
その後11~16世紀にかけて、ホワイトタワーは王宮の一つとして使われます。その間、各時代の王たちは塔のまわりに外壁や壕、造幣局や銀行、天文台や王立動物園などを次々と増設していき、いつしかホワイトタワーは「要塞宮殿」ともいえる複合建造物へと変貌。この頃から「ロンドン塔(Tower of London)」と呼ばれるようになったといわれています。
監獄塔としてのロンドン塔
1282年から、ロンドン塔は身分の高い政治犯を収監・処刑するための監獄としても使用され始めます。入ることが難しい要塞であれば外に出ることもまた難しく、内部で起こっていることが漏れにくいという利点もあったのでしょう。
テムズ川に接する水門は罪人を投獄する際に使われたため「反逆者の門(traitor’s gate)」と呼ばれ、特に14世紀以降は「政敵や反逆者を処刑する場所」というイメージの方が強くなっていたそうです。
特に有名なのが、エドワード5世とヨーク公リチャードの兄弟の幽閉と、アン・ブーリンの処刑です。エピソードをみていきましょう。
エドワード5世とヨーク公リチャード
15世紀、急死した父エドワード4世の後を継いで、エドワード5世が12歳という年齢で即位します。しかし戴冠式さえ挙げない間に、エドワード5世は弟のヨーク公リチャードと共にロンドン塔に幽閉されてしまったのです。
その間に議会はエドワード5世の王位継承を無効とし、エドワード4世の弟であるグロスター公リチャード(エドワード5世から見ると叔父)が「リチャード3世」として即位したのでした。
「塔の中の王子たち(Princes in the Tower)」と呼ばれていたというエドワード5世とヨーク公リチャードの消息は、現在に至るまで不明となっています。しかし、1674年に2人の子供の骸骨が発見されており、王位を簒奪したリチャード3世が二人を殺害したと考えられています。
ちなみにリチャード3世はその後、リッチモンド伯ヘンリー・デューダー(のちのヘンリー7世)とのボズワースの戦いで、味方の裏切りにあって戦死しています。この戦いによってイングランドの内乱である薔薇戦争が終結し、王位がヨーク朝からテューダー朝へと移ったのでした。
リチャード3世はシェイクスピアの戯曲『リチャード3世』において”稀代の奸物”として描かれており、歴史家の評価も二分している人物だそうです。『リチャード3世』でのセリフ「馬を! 馬をよこせ! 代わりに我が王国をくれてやる!(A horse! a horse! my kingdom for a horse!)」は、シェイクスピア作品の中でも特に有名なものの一つと言われていますよ!
アン・ブーリン
16世紀、ヘンリー8世は父から継いだテューダー朝の王位を確固たるものにすべく、男子の誕生を望んでいました。しかし、王妃のキャサリンは6人の子をもうけたものの、成長したのは女子のメアリーだけでした。
ヘンリー8世そんなキャサリンを見限り、2番目の王妃としてアン・ブーリンと結婚しました。ところが、アンが産んだ子供もまた女子のエリザベスでした。加えて、アンとブーリン家は政治に強く介入しており、アンは日に日に宮廷に政敵をつくってしまっていたのです。
結局、アンは姦通罪や魔術を用いた罪などによって逮捕され、ロンドン塔で処刑されました。その際の裁判の正当性は当時から疑問視されていたといわれており、現在では冤罪であるという見方が有力視されています。
そしてロンドン塔では今も、首のない女性の幽霊が出ると噂されているのです。
【その後のおまけ話①】
ヘンリー8世とアン・ブーリンとの間にできた王女エリザベスは、アンが死亡したことで庶子の身分に落とされ、事実上王位継承権がなくなっていました。しかし、ヘンリー8世の最後の妃となったキャサリン・パーの説得によって施行されたに第三継承法よって王女の身分に戻され、その後エリザベス1世として即位しました。
エリザベス1世が統治した時代を”イングランドの黄金期”と評価する歴史家は多く、エリザベス時代ではウィリアム・シェイクスピアやクリストファー・マーロウといった劇作家や、フランシス・ドレークやジョン・ホーキンスなどの優れた冒険者たちが活躍したのでした。
【その後のおまけ話②】
アン・ブーリンを処刑したヘンリー8世はその後、ジェーン・シーモア、アン・オブ・クレーヴズ、キャサリン・ハワード、キャサリン・パーと次々に王妃を変えていくことになります。
ジェーン・シーモアはエドワード6世を産んだのちに産褥死、アン・オブ・クレーヴズは結婚後すぐに離婚、キャサリン・ハワードは姦通罪によって処刑されています。アン・オブ・クレーヴズを推薦した宰相のトマス・クロムウェルも処刑されており、ヘンリー8世絡みでかなり多くの人々がロンドン塔で処刑されています。
絶頂期には、歴代のイングランド王の中でも屈指のカリスマ性と教養を持ち合わせた魅力的な統治者と称されたヘンリー8世でしたが、晩年は無慈悲で利己的な王になってしまったのでした。
世界遺産としての現在のロンドン塔
ロンドン塔は現在でもイギリス王室が所有する歴とした宮殿であり、正式名称は「女王(国王)陛下の宮殿にして要塞であるロンドン塔(Her(His) Majesty’s Royal Palace and Fortress of the Tower of London)」と名付けられています。
管理は「ビーフィーター(ヨーマン・ウォーダーズ)(beefeater、The Yeomen Warders)」と呼ばれる衛兵が行っており、建物の内部では史上最大のカラット数を誇るダイヤモンド「カリナン(偉大なアフリカの星)」や歴史的展示物、イギリス歴代の武具などを見学することができます。
1988年には世界遺産にも登録されており、ノルマン様式軍事施設の代表例であり、ヨーロッパに現存する11世紀の要塞建築として最も保存状態がよい建造物と評価されています。
ちなみに「ビーフィーター」という呼び名は、かつて給料をお金ではなく牛肉(beef)でもらっていたことに由来するそう。”beefを食べる人(eater)”というわけですね!
ロンドン塔のワタリガラス
ロンドン塔を語る上で忘れてはいけないのが、「ロンドン塔のワタリガラス」についてです!
どうしてカラスが保護されているの?
ロンドン塔には、飛べないように翼の一部を切ったワタリガラスが飼われています。
この風習は、チャールズ2世の時代に塔に棲みついたカラスを駆除しようとしたところ、占い師に「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩壊し、英国王室が滅亡する」と予言されたことで始まったとされています。
また、『アーサー王伝説』において「アーサー王が魔法でワタリガラスに姿を変えられてしまった」という話があり、ロンドン塔でカラスを飼っているのは「カラスを殺すことはアーサー王への叛逆であり、不吉な事が起こると言われているからだ」という説も存在するそうです。
現在でも「レイヴンマスター」と呼ばれる役職の王国衛士によって、一定数が塔の飼育区画で管理されていますよ!
カラスの英語について
ちなみに、日本語では同じ「カラス」を意味する”crow”と”raven”の違いは、体の大きさや尾の形にあるみたいです。”raven”は大型で尾の形が楔型、”crow”は小型で尾の形が扇型なのだそうですよ!
一般的に、イギリスのカラスは”raven”で、日本のカラスは”crow”と表現されます。「カラスは不吉なもの」と言う際にイメージするのは”raven”の方みたいです。
また、ワタリガラスは世界最大のカラスであり、気性が荒いことで知られています。興味本位でちょっかいを出すと襲われる可能性があるとのことなので、近くにきても写真撮影のみで楽しむようにしましょうね!
ロンドン塔の見どころ
それではロンドン塔の見どころを、今回は実際に行ってきた様子に合わせてご紹介していきます!
最寄り駅から歩いて向かいます!
最寄りの駅はタワー・ヒル駅(Tower Hill)です。駅を降りて少し歩くと、ロンドン塔に着きますよ!
ちなみに、駅のすぐ横には「ロンドン・ウォール(London Wall)」があります。
この城壁は3世紀ごろにローマ帝国によって築かれたもので、当時「ブリタニア」と呼ばれていたこの地域の州都「ロンディニウム」を囲っていたとされています。
ロンドン塔に到着! 早速入りましょう!
駅の方から歩いてくると、宮殿の雰囲気を感じるロンドン塔を見ることができますよ!
チケットを購入して、入場口である「ミドル・タワー(Middle Tower)」へと進みます!
ちなみに、実はこのロンドン塔が自分史上初めて”海外で一人でお金を払って入場する場所”でした。英語でチケットを購入するのは緊張したなぁ。。笑
ロンドン塔を散策
敷地内は自由に散策が可能なほか、定期的にヨーマン・ウォーダーズ(ビーフィーター)によるガイドツアーも行われています。ツアー料金は入場料に含まれているので、気になる方はぜひ参加してみてください!
中央塔である「ホワイト・タワー」以外にも大きな建物のそれぞれには名前がついており、内部にはテーマに沿った展示物が並べられています。
こちらは「ジュエル・ハウス(Jewel House)」。その名の通り、歴代の王冠や王笏といった数々の宝物が展示されており、中でも目玉は「アフリカの星」の異名をもつ史上最大のカラット数を誇るダイヤモンド「カリナン」ですね!
こちらが「ホワイト・タワー(White Tower)」です! 数々の血生臭い歴史の舞台となった場所ですね!
他にも、処刑場として使われた広場である「タワー・グリーン」や、かつて使われていた拷問器具が地下に展示されている「ウェイクフィールド・タワー」など、建物の見どころが満載です! 拷問器具はかなりリアルなので、興味がある方にはとても面白い場所だと思いますよ…!
外壁を歩いてみる
お次は外壁を歩いてみます!
最後にロンドン塔前からタワーブリッジを眺める!
敷地外に出てテムズ川沿いを歩くと、改めて「タワーブリッジ(Tower Bridge)」を一望することができますよ!
タワーブリッジの写真を撮りたい場合は、このようにロンドン塔の前から撮るのがオススメです!
こちらが有名な「裏切り者の門」、英語で言うと”Traitor’s Gate“ですね! 当時はテムズ川から舟に乗ってこの門をくぐり、監獄としてのロンドン塔に連行されていたとのことです。
「この門をくぐったら二度と外へは出られない」と言われていたそうで、実際、この門をくぐって生きて出てきたのはエリザベス1世だけだと言われています。ただ、そもそも”エリザベス1世がロンドン塔に幽閉されていた”という話自体があまりないので、後に加えられたエピソードかもしれませんね。
うって変わってこちらはライオンの像。動物園の名残ということなのでしょうが、”三頭のライオン”はかつてのイングラント王室の紋章に描かれていたものでもあります。現在のサッカーイングランド代表やクリケットイングランド代表のマークにも三頭のライオン「スリーライオンズ」があしらわれていますね!
最後に、チケット売り場の近くの売店で買った「フィッシュ&チップス(Fish and Chips)」を載せておきます! これがイギリスでの初フィッシュ&チップスということで、多分一人でウキウキしてました。笑
よく、「本場のフィッシュ&チップスはまずい」と言われているので僕も覚悟していたのですが、全然そんなことなく、サクサクジュージーで美味しかったですよ!!
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それでは最後に、ロンドン塔の開館時間や料金、行き方やアクセスをご紹介します!
開館時間
※記載がない場合、最終入場は閉館の1時間前
【3月1日~5月31日、9月20日〜10月31日】
・月曜日・日曜日:10:00〜17:30
・火〜土曜日:9:00〜17:30
※10月4日,5日:9:00〜14:30(最終入場は12:45)
【6月1日〜9月18日】
・9:00〜17:30
【11月1日~12月23日、1月2日,3日、1月6日〜2月10日、2月20日〜2月28日】
・月曜日・日曜日:10:00〜16:30
・火〜土曜日:9:00〜16:30
【12月27日〜12月31日、2月11日〜2月19日】
・9:00〜16:30
※2月19日:10:00〜16:30
【休館】
1/1、9/19、12/24〜12/26
料金
・大人(18~64歳):£29.90
・子ども(5~15歳):£14.90
・学生・シニア(65歳以上)・身体障害者:£24.00
アクセス
・タワーヒル駅(Tower Hill)から徒歩3分
・ロンドンブリッジ駅(London Bridge)から徒歩15~20分
※ロンドンブリッジ駅はテムズ川の対岸にあるため、ロンドン橋かタワーブリッジを渡る必要があります
ロンドン塔 まとめ
ということで今回は、イギリスの世界遺産「ロンドン塔」についてご紹介してきました!
塔というよりは城塞に近い世界遺産であり、宝物から血なまぐさい歴史までイギリス歴代王朝のさまざまな側面を感じることができる観光スポットです。隣にはロンドンのランドマークの一つ「タワーブリッジ」が建っていますし、近くの観光名所と合わせて巡りやすいのも嬉しいポイントです!
世界史やイギリスの歴史に興味がる方は、特に楽しめること間違いなしのロンドン塔。ぜひ足を運んでみてくださいね!
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