みなさんこんにちは!観光情報サイト「旅狼どっとこむ」の旅狼かいとです!
今回ご紹介するのは京都の「南禅寺」です。歌舞伎『楼門五三桐』における石川五右衛門の名台詞「絶景かな、絶景かな」で知られる「三門」や、京都随一のフォトスポットとして知られるレンガ造りの「琵琶湖疏水水路閣(水道橋)」といった境内に立つ建築物で有名です。もちろん魅力はそれだけではなく、広大な境内は日本ならではの四季折々の風景で彩られ、特に秋の紅葉が見どころです。
この記事ではそんな南禅寺へ旅行するなら絶対に知っておきたい歴史や見どころ、アクセスや拝観時間などの基本情報をお届けしていきます。南禅寺を観光しようと考えている方はぜひ参考にしてくださいね!
南禅寺の歴史
まずは南禅寺の歴史をご紹介していきます。
南禅寺の創建伝説
現在の南禅寺が建つ場所には、もともと後嵯峨天皇が1264年(文永元年)に造営した離宮「禅林寺殿」がありました。禅林寺殿は「上の御所(上の宮)」と「下の御所(下の宮)」に分かれており、そのうちの上の御所に後の亀山上皇が持仏堂を建立し、「南禅院」と名付けました。
亀山上皇が出家して法皇となった時代になると、禅林寺殿に妖怪たちが毎夜毎晩現れ、人々は困り果てていたといいます。そんな時に禅林寺殿を訪れたのが、「無関普門(大明国師)」という僧侶でした。弟子を連れた無関普門は当時80歳でしたが、なんと坐禅を組むだけで妖怪たちを退治していったのです。
この出来事をきっかけにして、亀山法皇は1291年(正応4年)に禅林寺殿を禅寺に改め、無関普門を開山として「龍安山禅林禅寺」と名付けたのです。
南禅寺の発展(室町時代)
禅林禅寺を開山して間もない頃に無関普門は亡くなってしまったため、お寺としての体裁の整備は2代目住職の「規庵祖円(南院国師)」が中心となって行いました。この際に寺号が「太平興国南禅禅寺」に改められ、現在の「南禅寺」に直接繋がる名前になりました。
1334年(建武元年)には、後醍醐天皇が臨済宗の寺院の寺格を表す「五山」の第一位に南禅寺をすえ、さらに1385年(至徳3年)には、足利義満が五山を「京都五山」と「鎌倉五山」に分割し、両五山の上位に位置付けられる「別格上位」として南禅寺をすえたのでした。つまり南禅寺は、室町時代における禅寺の最高位に位置付けられたのです。
こうして強固な支持基盤を得てきた南禅寺は、鎌倉時代から室町時代に至るまで隆盛を謳歌していました。しかし、1467年(応仁元年)に起きた応仁の乱で伽藍の大半が焼失すると、その後長きにわたって再建されずに放置されてしまうのでした。
南禅寺の再興(江戸時代〜明治時代)
衰退した南禅寺の再建が進んだのは、江戸時代に入って「以心崇伝」という僧が入寺してからとなります。以心崇伝は徳川家康側近として「黒衣の宰相」と呼ばれた政治家でもあり、さらには日本全国の臨済宗の寺院を統括する「僧録」という役職まで与えられた僧侶でした。
以心崇伝の政策によって復興を遂げた南禅寺はその後江戸幕府と深い関係となり、臨済宗南禅寺派の大本山として発展していきます。
そんな南禅寺に近世・近代で起こった出来事といえば、「琵琶湖疏水水路閣」の造営ですね!明治維新の際に、琵琶湖の水を京都市内へ運ぶために造られたのが琵琶湖疏水です。南禅寺近くの蹴上インクラインをはじめ京都市内に多くの水路が通されたのですが、南禅寺境内がその一部に含まれたのでした。
当時は「古都の景観が破壊される」という非難の声も多かったそうですが、いざ完成すると、その風景を一目見ようと多くの人々が押し寄せたといいます。
フォトスポットしての南禅寺(現代)
琵琶湖疏水完成から100年以上が経った現代でも、琵琶湖疏水水路閣の人気は健在。中世から続く伝統的な神社境内にヨーロッパ風のレトロなレンガ造りの水道橋があるという不思議な風景は、今や京都随一のフォトスポットとして多くの観光客が詰めかける観光名所。
また、勅使堂・三門・法堂・方丈の伽藍が一直線に並ぶ美しい境内は紅葉の名所としても知られており、特に紅葉の見頃の時期は着物を着た方々も多く詰めかけます。
インスタ映えな撮影を楽しむ若者から、日本の伝統を感じる景観を楽しむご年配の方まで、老若男女が楽しめる旅行先となっているのが、今日の南禅寺なのです。
南禅寺の見どころ
ではここから、南禅寺に行ったら絶対に見逃せない観光スポットをご紹介していきます。
三門
南禅寺の境内へと足を踏み入れる参拝者を最初に出迎えてくれるのが、巨大な「三門」になります。約22メートルという日本最大級の高さを誇る三門は水路閣とともに南禅寺のシンボルとなっており、『山門』の名前でも知られる歌舞伎『楼門五三桐』では、安土桃山時代の大盗賊「石川五右衛門」が三門から春の桜を愛でながら「絶景かな、絶景かな」と言い放つ舞台としても有名です。
南禅寺の三門は別名「天下竜門」とも呼ばれており、京都の知恩院と山梨の久遠寺のもの三門と合わせて「日本三大門」に、知恩院と仁和寺の三門と合わせて「京都三大門」に数えられるなど、日本を代表する名門としても知られています。
春の「桜と三門」、初夏の「新緑と三門」、秋の「紅葉と三門」、冬の「雪化粧した三門」など四季折々のどの光景も絵になりますし、南禅寺の三門は上層の楼「五鳳楼」にも登ることができますから、境内から三門を眺めるだけでなく、京都市街や南禅寺の境内の景色を一望することもできますよ!
法堂
南禅寺の「法堂」は法式行事や公式の法要が行われる場所であり、お寺の中心となる建築物になります。
応仁・文明の乱で創建当時のものが焼失して以降、何度も火災の憂き目に遭ってきた南禅寺の法堂。現在のものは1909年(明治42年)に再建されたもの。その美しい出立ちは、三門や水路閣に埋もれがちではありますが、十分に見どころとなる場所です。
法堂の中には本尊である釈迦如来が安置されており、その左右に象に乗る普賢菩薩と獅子に乗る文殊菩薩が並び立っています。天井には明治から大正に活躍した画家「今尾景年」が描いた幡龍がこちらを覗いており、こちらも要チェックです!
琵琶湖疏水水路閣(水道橋)
南禅寺に行く方のほとんどのお目当てが、このレンガ造りの「琵琶湖疏水水路閣(水道橋)」のはず! 京都市内へ琵琶湖の湖水を引く「琵琶湖疏水」の一部として、1890年(明治23年)に完成した水道橋になります。
レトロなレンガ造りの橋脚と日本ならではの格式高い寺院の境内という”アンバランスな融合”こそが、この不思議で神秘的な雰囲気を醸し出しているのでしょう。特に着物を着て写真を撮れば、インスタ映えは間違いありません!
今ではサスペンスものをはじめとするドラマや映画のロケ地としても使用されるほどの人気観光地ですから、紅葉の時期はもちろんのこと、それ以外の時期でも日中は非常に多くの観光客が集まる南禅寺の水路閣。人を避けて写真撮影をしたい方は、8〜9時の朝一番で水路閣に来ることをオススメします!
方丈
法堂と水路閣に挟まれた坂道を登った先にあるのが、南禅寺の「本坊」と「方丈」になります。1611年(慶長16年)に建てられた方丈は他の寺院でいう金堂や本堂にあたり、中は「大方丈」と「小方丈」に分かれています。
大方丈は御所の建物を下賜される形で建てられたものであり、最大の見どころは、小堀遠州が南禅寺再建の折りを込めて作庭したという「方丈庭園」です。江戸時代初期を代表する枯山水庭園としてだけでなく、「虎が子虎を連れて川を渡る様子」を表現したという「虎の子渡しの庭」としても知られています。
対する小方丈は伏見城の遺構を用いたものとなっており、「心」の字の形に庭石を配した枯山水石庭「如心庭」と、狩野探幽が描いたとされる40面の『群虎図』が見どころ。『群虎図』の中では悠然と身を屈めて水を飲む姿が印象的な「水呑みの虎」が有名ですね!
また、方丈を進む順路で見られる「六道庭」も名所の一つ。仏教において輪廻転生するという6つの世界「天上道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道」を表現しているといわれています。
南禅院
「南禅院」は、水路閣のアーチ橋脚をくぐった先にひっそりと佇む隠れ名所です。
歴史のところでご紹介したように、この地にはもともと後嵯峨天皇の離宮「禅林寺殿」が建っており、禅林寺殿を二つに分けた「上の御所」に息子である亀山天皇が出家後に移り住んだといわれています。そして、その地を「南禅院」と名付けたことから、この南禅院が南禅寺発祥の地とも言われているのです。
そんな南禅院の見どころは、今なお造園当時の趣を残す庭園です。鎌倉時代末期の代表的な池泉回遊式で、亀山法皇が自ら作庭したとも伝えられています。
実際に庭園を歩いてみると、南禅寺境内の喧騒が嘘のようにひっそりとした静謐な雰囲気を楽しめる空間となっており、庭園の緑や紅葉を見ていると心が落ち着きました。一つの境内にこれほど雰囲気が違う場所があるというのも不思議なものですが、それがまたこの庭園の”味”になっているのかもしれません!
天授庵
「天授庵」は、南禅寺の開山である「無関普門(大明国師)」の遺骨を納めた塔所として、1339年(歴応2年)に建立された南禅寺の塔頭になります。現在の天授庵は、武将であり歌人でもあった「細川幽斎」が1602年(慶長7年)に再興したもので、秋には知る人ぞの見知る紅葉の名所として密かな人気を集めているのですよ!
天授庵の庭園は「東庭の枯山水方丈庭園」と南北朝時代に造られたとされる「池泉回遊式の書院南庭」に分かれており、趣の異なった庭園を一度に楽しむことができるのが特徴です。同じく南禅寺の境内に建つ南禅院と同様に、お寺の喧騒がまるで別世界のことのようにひっそりとしつつも、こちらは紅葉の様子が実に鮮やかで艶やかな印象でした。
紅葉が見頃を迎える11月中旬から下旬には、毎年ライトアップも行われますから、秋の南禅寺を訪れた際はぜひ立ち寄ってほしい穴場スポットです。
南禅寺の観光地情報
南禅寺の拝観時間や拝観料、紅葉の見頃やアクセス情報です。
拝観時間
境内は自由散策
三門上部・方丈庭園・南禅院
【3月1日~11月30日】
8:40~17:00(受付終了は16:40)
【12月1日~2月末日】
8:40~16:30(受付終了は16:10)
【休日】
12月28日~31日
天授庵
【3月1日~11月14日(春・夏・秋)】
9:00~16:45(受付終了は16:15)
【11月15日~2月末日(冬)】
9:00~16:30(受付終了は16:00)
【休日】
11月11日午後~11月12日午前中
その他、臨時行事のある時
【夜間特別拝観(秋のライトアップ)】
例年、11月15日〜11月30日
拝観料
三門上部・方丈庭園
一般:600円
高校生:500円
小中学生:400円
※三門と方丈庭園は別料金
南禅院
一般:400円
高校生:350円
小中学生:250円
天授庵
一般:500円
高校生:400円
小中学生:300円
ライトアップ:600円(日中の料金とは別途)
紅葉の見頃
【南禅寺・南禅院】
色づき始め:11月中旬
見頃:12月上旬
【天授庵】
色づき始め:11月上旬
見頃:11月中旬
桜の見頃
例年、3月下旬~4月上旬
所要時間
三門や水路閣の風景だけ楽しむ:30分
三門上層や方丈庭園まで楽しむ:60分
南禅院・天授庵は各30分〜45分
観光のおすすめ時間
早朝~午前中
アクセス
京都市左京区南禅寺福地町
TEL:075-771-0365
・地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩10分
・市バス5番系統で「南禅寺・永観堂道」下車後、徒歩10分
・市バス5・32・93・203・204番系統で「東天王町」下車後、徒歩10分
駐車場
中門手前に第1駐車場がある
料金:2時間以内で1,000円、以降1時間ごとに500円
台数:50台
南禅寺のまとめ
ということで今回は、京都の南禅寺の歴史や見どころ、観光地情報をお届けしました!
秋の紅葉の名所として、そして琵琶湖疏水の水路閣で有名な南禅寺。ご紹介してきたように、中世以降の日本の寺院ならではの雰囲気を楽しみつつ、ここでしか味わうことができない寺社仏閣の境内と近代ヨーロッパ風レンガ造のコントラストを感じることができる不思議な空間になっていますよ!
もちろん、どんな時期でも四季折々の彩りを見せてくれる境内そのものの風景も魅力の南禅寺ですから、ぜひ京都を旅行する際はこの南禅寺に立ち寄ることをお忘れなく! そしてぜひ、この京都随一のフォトスポットで想い出に残る写真を撮ってくださいね!
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