みなさんこんにちは!旅狼かいとです!
フランスのマルセイユからバルセロナにやって来ました!
が、今回は市街地をスルーし、カタルーニャにおけるキリスト教の聖地モンセラット(Montserrat)へ!
モンセラットは、バルセロナを中心地とするカタルーニャ地方の人々から長く愛されている場所で、聖地としての役割だけでなくその見事な景観と景色から、観光地としても非常に人気が高いです。
19世紀後半にヨーロッパ全土に影響を与えたと言われるドイツの”楽劇王“ことヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner)が、オペラ『パルシファル』でモンセラットの景観を舞台背景に用いたり、カタルーニャが生んだ建築の巨匠アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí)が何度もモンセラットを訪ねインスピレーションを得たりと、歴史に名を残す数々の文化人が足を運んだことでも有名ですね!
そんなカタルーニャの信仰の中心モンセラットを、今回はご紹介していきます!
👇フランスのマルセイユについて!こちらもおすすめですよ!

モンセラット(Montserrat)について

「モンセラット(Montserrat)」はカタルーニャ語で「のこぎり山」という意味で、その名の通り丸みを帯びながらでこぼこした不思議な形の岩に囲まれています。
発音上日本語では、「モンセラート」や「ムンサラート」と書かれることもあります。
モンセラットはスペインにおけるキリスト教の聖地とも言われ、その歴史は12世紀にまで遡ります。
「サンタ・コバ(Santa Cova)」と呼ばれる岩山の奥にある洞窟で、とある羊飼いが”黒いマリア像“を見つけ、そのことがきっかけでベネディクト派の修道院がこの地に建てられたのがはじまりとされています。
この修道院は、現在岩山の中腹に立つ修道院の基礎となったものですね!
なぜこんな山奥にマリア像が、しかも色が黒いものが置かれていたのかは今だに謎。
「12世紀に発見された」ということも、マリア像を科学的な分析によって解析した結果得られたことにすぎず、伝説ではもっと以前からあったという説もあるみたい。
ん~、実にロマン溢れるお話ですね~!
このお話だけでも聖地として相応しいですが、モンセラットが今なおカタルーニャの人々に愛される大きな理由が、このはじまりのエピソードに加えて2つあります。
1つ目は、19世紀初頭に起きたスペイン独立戦争(スペインの反乱)のときのエピソード。
スペインは当時、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの侵攻によって直接統治を受けていました。
その際のフランス軍人たちの傍若無人ぶりに対し、スペイン各地で反乱が起きます。
この反乱の鎮圧に対し、カタルーニャの地元の民兵がここモンセラットに立てこもって最後まで抵抗を続けたのです。
2つ目は、近代のスペイン史上最も悪名高い独裁者と言われるフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)が政権を掌握した時代のエピソード。
フランコ政権時代、独立意識を削ぐためにカタルーニャでは家の中以外のすべての公の場でカタルーニャ語を話すことが禁じられていました。
そんな中、ここモンセラットの修道院付属の教会では、断固としてカタルーニャ語を使ったミサを行い続けたのです。
(フランコ政権時代以外にもカタルーニャ語の使用が禁じられた時代が何度かあるのですが、その全てでもカタルーニャ語によるミサを行い続けています。)
モンセラットは、スペイン独立戦争の時もフランコ政権の時代も、カタルーニャの独立性を守り団結せんとした人々の拠り所だったのです。
こういった歴史から、今なおカタルーニャの人々の心の故郷としてあり続けているのですね!
観光地としてのモンセラット

バルセロナの市街地から郊外のモンセラットへは約1時間の道のりです。
今回は夕方にモンセラットに到着し、一泊。
翌日の午前中にバルセロナの市街へ戻りました。
多くの旅人さんや旅行パック、旅行ツアーでは、バルセロナ中心地からの日帰りで訪れるプランが多いと思います。
僕たちもはじめはそのプランだったのですが、弟がモンセラットのホテルにどうしても泊まりたいと言うので一泊のプランに変更。
この判断がものすごく良かった…!!
珍しく弟が英断してちょっとびっくり。
なぜかを見どころと合わせて書きますね。
まず、モンセラットの見どころは、大きく分けて3つあります。
一つは、「黒いマリア像」が祀られている修道院付属の教会「サンタ・マリア・モンセラット教会(Basílica de Santa María de Montserrat)」。
二つ目は、周囲の岩山や眼下の絶景を楽しむことができる「サン・ジュアン展望台(San Joan)」。
そして三つ目は、黒いマリア像が発見された”はじまりの洞窟”とも呼べる「サンタ・コバ(Santa Cova)」です。
そんな3つ見どころのうち、
ケーブルカーに乗って行くサン・ジュアンとサンタ・コバは他の観光地同様の営業時間(だいたい9時or10時〜夕方まで)なのですが、
サンタ・マリア・モンセラット教会は朝の7:30から開いており、夜は20時まで入場することができるのです!
対して、モンセラットへのロープウェイや登山鉄道は、10時前から動き出し、夜は19時には終電となります。
つまり、朝・夜がかなり空くのです!
特に、日が落ちるのが早い冬場は、ロープウェイと登山鉄道の終電が17時すぎになるのでさらに効果があらわれます。
しかも、まわりには余計な電灯や背が高い建物がほとんどないため、夜は美しい夕暮れと満点の星空を、朝は光り輝く朝日をほぼ独占して見ることができるのです!
というか、できたのです!!

加えて、教会の見どころの一つであるミサも、朝早くと夜遅くに行われるものもあり、こちらもゆっくり席につきながら鑑賞することができます!
この朝・夜の恩恵が非常に大きかった!!
夕暮れも、星空も、ミサも、朝日も、すべてが心に残るものでした。
1月3日ということもあり、最高の”初詣”になりましたね!
と、僕の感想を並べてしまいましたが、余裕がある方はぜひ泊まりでモンセラットに来ることを強くオススメします!
特に11〜2月の冬場はなおさらね!

写真引用:Hotels.com
モンセラットへ!

それでは、モンセラットの様子を写真とともにご紹介していきましょう!
バルセロナ市街からモンセラットへ
バルセロナ市街地からモンセラットの麓にやってきたところからお届け!
ここまでのエピソードとしては、バルセロナの市街地から向かう電車で、
「ヘイ!モンセラットに行くのかい??僕は何度も行ってるんだけど、それはもう何回行っても最高のところだよ!!」
と、同世代の青年に言われたことですね!
(セリフは彼の英語を日本語で脳内再生したバージョンです。笑)
宿泊するため大きな荷物を持っていたのでわかりやすかったのだと思いますが、それにしてもとても気さくな青年でした!
スペイン人ってやっぱフレンドリーなのかなぁ〜!と感じた瞬間でしたし、地元の人から愛されているというのも本当のようで一安心。
期待も高まりました!
モンセラットへのアクセスについては、後ほど詳しくご紹介します。



窓際へ行かないと風景を楽しむことができないので、こればかりは運です。笑
対策としては、「混雑する日中やハイシーズンを避ける」くらいですね…。





モンセラットでははちみつがお土産としてよく買われるみたいですよ。



サンタ・マリア・モンセラット教会(Basílica de Santa María de Montserrat)

モンセラットが聖地として崇められるはじまりとなったベネディクト派の修道院。
その修道院に付属する教会が、「サンタ・マリア・モンセラット教会(Basílica de Santa María de Montserrat)」です。
上でもちょこっと書きましたが、改めてご紹介。
一番の見どころは、教会堂の祭壇上部に祀られている黒いマリア像。
教会への入場、そしてマリア像の見学は誰でも可能で、しかも無料です!
そんな黒いマリア像と並んで有名なのが、「エスコラニア(Escolania)」と呼ばれる少年合唱団です。
14世紀から続く最古の少年聖歌隊のひとつで、基本的には13時のミサでその歌声を聞くことができますが、彼らの休日は演奏されません(土曜日、夏休み、クリスマス、年末年始など)。
もちろん、神父さんたちのミサは毎日行われていますので、この地で守り続けられてきたカタルーニャ語によるミサ、ぜひ聴いてみてくださいね!

正面の床には円形の紋章のようなものが描かれていて、その中心で写真を撮る人も多かったですよ!


年末年始の夕方ということもあり、10分もしないうちにマリア像の前に行くことができました!


黒いマリア像は、地元民からは「黒い女の子」という意味の「ラ・モレネータ(La Moreneta)」の愛称で親しまれています。
実際、観光客の中に紛れて、あなた絶対地元の人だよね!という方もいました。
(服装や持ち物から判断してですが。笑)


このイエスは19世紀に復元されたものだそうです。

この球に触れながら願いを伝えると叶うとか。。 もちろん僕もスリスリしてきました!
黒いマリア像の見学を終えると、色とりどりのキャンドルが並ぶ燭台に出てきます。
このキャンドルも、モンセラットの名物です!









続いて教会堂。
黒いマリア像への入り口とは違うので注意です。













モンセラットの夕暮れ
ここからは、モンセラットからの景色・風景を楽しむ時間です!
教会とマリア像も良いですが、個人的にはこの景観もとてもとても見事なものでした。
これを観になら何度でも足を運びたい…!
行きの電車で声をかけてくれた青年が本当に羨ましいです。。







見た感じ手すりや柵はないのでかなり注意が必要そうですが…。


ミサの時間中は教会堂内は撮影NGのようで、係の方に止められてしまいました。
はじめての”生ミサ”。思わず目を瞑って聴き入ってました。
何を言っているかはまったくわかりませんでしたが(笑)、キリスト教の一端を感じられた気がします。




星空も本当に綺麗だった。。「言葉にできない」ってこういうことを言うのかってかんじ。。
あいにく僕のカメラテクでは夜空は撮影できず、先ほどの真っ暗な登山道に寝そべってひたすら見入っていました。
絶景!!モンセラットの朝日

翌朝!起きてみるとびっくり!!めちゃくちゃ綺麗じゃん!!!
この朝日は、22年数ヶ月の俺史上No.1かもしれない。
それくらいの感動でした。。










もうこれしか言えない。なのでしばらく黙ります。




この朝日は本当にいつまでも観ていられましたね〜!
あとあと思ったのは、カメラやスマホのタイムラプスで太陽の動きを追ってみたらめちゃくちゃ面白そうってことですね!
モンセラットからの御来光、皆々様も是非ともご覧あれ。。
ケーブルカーでサン・ジュアン(San Joan)へ!

朝食を終えチェックアウトの準備を済ました頃には、お天道様は完全に空の中。
そして僕たちも改めて外へ。
ホテルのチェックアウトが12時までと言うことで、午前中はケーブルカー(Funicular)に乗って展望台へ行きました!
展望台は「サン・ジュアン(San Joan)」という名前ですが、厳密には岩山上部全体を指すものと思われます。


トレッキング・ハイキング感覚で来ても面白そうです!






















僕たちは時間の都合上これしかいられませんでしたが、ここサン・ジュアンと今回は行けなかった「サンタ・コバ(Santa Cova)」だけでも一日過ごせそうなほど広いところでした。
最初に登ってくるところ以外は歩くことが前提とはなりますが、ゆっくりと”のこぎり山”を堪能するのもアリですね!
というか、今度はもっとゆっくりここに来たいと個人的には思います!
バルセロナの市街地へ

ということで、モンセラットはここまで!
バルセロナの市街地へと戻ります。
帰りは行きと異なり登山鉄道を利用。
午前中にバルセロナ市街へ向かう人はほとんどいなく、しっかり窓際の席を確保できました!


麓の町をぐるっと回るので、ロープウェイよりも時間はかかりますが、その分景色を楽しむことができました!
直線的に岩肌を伝うように登るロープウェイと、ぐるっと時間をかけて山を登っていく登山鉄道。
う〜ん、やっぱりどっちかなんて選べないよね!!


モンセラットへのアクセス

ここまで書いてきたモンセラットですが、個人での行き方を調べてみると
何やら複雑そう…
と思う方もいらっしゃるかと思います。
僕もいくつかサイトを見て、愛読書『地球の歩き方』を読みましたが、
「うん、もう行ってみないとよくわからん!」
となりました。笑
ともあれここで、文字だけにはなりますがモンセラットまでのアクセスをご紹介していきます。
まず大前提として、バルセロナの中心街である「スペイン広場駅(Espanya)」へ行きます。
バルセロナの大きな駅としては、別に「サンツ駅(Sants)」もありますのでご注意ください。
スペイン広場駅に着いたらカタルーニャ鉄道のR5線に向かい、Manresa行きに乗ります。
駅のところどころにカタルーニャ鉄道のオレンジのマークと一緒に”Montserrat →”みたいな案内がありますし、カタルーニャ鉄道はスペイン広場駅が終着駅なので一方向にしか行きません。
ですので、とにかく”R5”と書かれたプラットホームに行けば大丈夫です!

画像引用:Wikipedia カタルーニャ公営鉄道
次に乗車券の購入です。
このカタルーニャ鉄道はモンセラットの麓までしか行きません。
ですので、中腹に行くには一度乗り換えが必要になるのですが、ここで2つの選択肢があります。
それが、ここまで何度か書いてきている「ロープウェイ(Aeri)」か「登山電車(Cremallera)」です。

券売機のトップ画面では英語にも変更できるので、とりあえず英語ができれば大丈夫ですし、係りの人が券売機近くに立っているのでわからなければ聞いてしまいましょう。
2019年1月の時点では、「カタルーニャ鉄道+ロープウェイ」のセット券と、「カタルーニャ鉄道+登山鉄道」のセット券が販売されていました。
途中寄るところがない方は、素直にこのどちらかを購入しましょう!
また、往復券を購入した場合は割引きがあるので、日帰りの方は往復券を購入した方が安上がりになります。
ただし、往復券を購入した場合は「行きも帰りもロープウェイ」または「行きも帰りも登山鉄道」になりますので、ロープウェイと登山鉄道の両方乗りたい方は、スペイン広場駅からの行きは片道券を買い、帰りの分はモンセラットで別途購入する必要がありますので注意です。
(泊りがけの方も片道券を購入してください。)
チケットの購入ができたら電車に乗り込みましょう!
ロープウェイ(Aeri)を選択した場合は”Aeri de Montserrat”、登山電車(Cremallera)の場合は”Monistrol de Montserra”で下車しなければいけませんので、ここも注意!
最初にロープウェイのAeri de Montserrat駅、次にMonistrol de Montserraに停車します。
モンセラットに近づくにつれて周りの風景が岩山になってきますので、様子を見ながらアナウンスやドア上の掲示板を確認してください。
それぞれの駅に到着したら、ロープウェイor登山鉄道に乗り換え、終点まで行けばモンセラットになります。

このように、バルセロナ市街地からモンセラットへ行くには、要所要所で注意ポイントがありますので、それぞれ気をつけてくださいね!
まとめると、、
①スペイン広場駅(Espanya)のR5線に行く!
②ロープウェイ(Aeri)か登山電車(Cremallera)か決める!
③②で決めた登り方によって降りる駅が違う!
という3点に注意すれば、まずは大丈夫です!
モンセラットのまとめ

ということで、カタルーニャの聖地モンセラットについて書いてきました。
修道院付属教会では、モンセラットのシンボルである「黒いマリア像」を目の前で拝めるだけでなく、最古の少年聖歌隊のミサやカタルーニャ語のミサを聴けたり、教会堂の厳かではあるがとても美しい雰囲気や幻想的なキャンドルたちを味わうことができます。
さらに、朝夕の朝日と夕暮れ、そして夜の星空をはじめとするモンセラット中腹からの景色は、何物にも代えることができない絶景ですし、さらに上へ登れば奇岩・のこぎり岩の山を間近で堪能することもできます。
カタルーニャのキリスト教を肌で感じるという文化の面と、カタルーニャの絶景を心に刻むという自然の面、どちらも持ち合わせたモンセラット。
ここモンセラットに来て、はじめて「バルセロナを観光した」と言えると個人的には思えるほど、とてもとても素晴らしいところでした。
ぜひともモンセラットへ足を運んでください。
他では感じることができない”何か”を、あなたもきっと感じられるはずです。

この記事へのコメントはこちらから!