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今回は、地元チベットやネパール、インドのラダックやシッキム、ブータンなどで今でも信仰されているチベット密教における、タルチョやマニ車といった信仰方法についてをお届けしていきます!
性行為を取り入れた仏教としても知られるチベット密教。真言宗や天台宗などの形によって日本にも伝わっている密教とは異なる形をしているチベット密教だからこそ、とても興味深いものがあります。
チベット密教そのものについて知りたい方はもちろん、インドのラダックやネパール、ブータンなど、チベット密教の地域へ観光を予定している方もぜひ参考にしてみてくださいね!これを知ってチベット密教の地域へ観光や旅行をすれば、さらに楽しさがアップすること間違いなしですよ!
タルチョとマントラ
チベット密教において欠かせないものが、「タルチョ」と呼ばれる祈祷旗ですね! 「チベット(Tibet)」と画像を調べるとほとんどの写真に写っているといっても過言ではない、チベット文化を象徴するものと言って良いでしょう。
タルチョは、「5色の旗に託された文字や絵が、風になびくことで読経したことになる」という、チベット仏教の信仰方法のひとつです(なので、高いところや風が通るところに多いのが特徴です)。チベットに仏教が伝わる前のボン教の時代から続くチベット伝統の祈祷旗で、魔除けとして悪霊を祓い、その土地の精霊に祈りを捧げるためにも使われます。
タルチョに書かれている文字は「六字大明陀羅尼」と呼ばれる仏教の呪文のひとつで、チベット語では六文字となることから「六字真言(シックスシラブルマントラ)」と呼ばれます。チベット密教とは非常に関わり深い「観音菩薩」を表現するマントラであり、「オン・マニ・ペメ・フム(Om mani padme hum)」という音になります。チベット密教圏に足を運ぶと、必ず耳にするであろう言葉です。
タルチョの五色の順番は「青・白・赤・緑・黄」の順に決まっており、それぞれが「天・風・火・水・地」の五大を表現しているのも特徴です。
タルチョとルンタの違い
他には、願い事や四神などが描かれていることもあり、特に風の馬が描かれている場合は「ルンタ」や「風馬旗」とも呼ばれます。「仏法が風に乗って拡がるように」、あるいは「馬が風に乗って走るように早く願いが叶うように」という願いが込められていると言われています。
よく「タルチョとルンタの違い」が取り上げられますが、少なくともチベット密教圏においては、馬の絵柄が描かれているタルチョを、特別「ルンタ」と読んでいるようですね!
四神は、中国神話において天の四方の方角を司る霊獣のことです。四獣や四象とも呼ばれます。 東の青龍 ・南の朱雀・西の白虎・北の玄武に、五行説と合わせることで中央に麒麟や黄竜を加え、五神や五獣と呼ぶこともあります。
五方(方角) | 五色 | 五行(五元素) | 五時(季節) | |
---|---|---|---|---|
青龍 | 東 | 緑(青) | 木 | 春 |
朱雀 | 南 | 赤(朱) | 火 | 夏 |
白虎 | 西 | 白 | 金 | 秋 |
玄武 | 北 | 黒(玄) | 水 | 冬 |
麒麟・黄竜 | 中央 | 黄 | 地 | 土用 |
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マニ車
「マニ車(Prayer wheel)」は、チベット仏教の中でも特徴のある仏具の一つです。「六字真言」が刻まれたクルクル回る円筒形をしており、手に持てる小さいミニマニ車から、チベット寺院の壁面や寺院内に設けられている大きなマニ車まであります。
タルチョは掲げた旗が風になびくことで信仰となりますが、マニ車は「時計回りに回すことで刻まれている六字真言(マントラ)を唱えたことになる」とされています。字が読めない人でも、このマニ車を回すことでマントラを唱えたのと同じ徳を得ることができるように、というのがはじまりとされています。
※仏教においては時計回りが信仰を示す際のルールとなっており、反時計回りは不浄と考えられています。マニ車を回すときだけでなく、観光などで僧院をまわる際なども時計回りを意識すると良いでしょう。
マニ車に似たチベット密教(チベット仏教)における信仰には、マニ車と同じく、六字真言をはじめとするマントラが刻まれた石「マニ石」を積み上げる習慣や、数珠玉をひとつひとつ永遠に数えながらマントラを唱える、といったものもあります。
チャム(チャン)
チベット密教の僧院(ゴンパ)ごとに年に一回程度行われる仮面舞踏による法要を、「チャム(チャン、Cham dance)」と呼びます。基本的には僧侶によって演じられます。
チャムはチベット密教圏の人々の彼岸のイメージを具現化する舞踊とされ、敬虔なチベット仏教徒にとっては三次元で表されるマンダラに相当するといいます。神や神格化された人物・動物を象徴する仮面(ボク)をつけた踊りが多いですが、シャ・ナのように仮面を着けずに演じられるチャムもあります。
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プジャ(法要)
現代では、一般的にはヒンドゥー教における日常のお祈りや儀式を指す「プジャ(Puja)」ですが、チベット密教においても、法事・仏事・法会といった儀式祭礼などの仏教行事一般のことを「プジャ(法要)」といいます。お寺の創立記念や落慶(お寺の新築や修理の完成を祝うこと)、仏像の開眼などの慶事も「プジャ」に含まれます。
もともと「プジャ」というのは、「釈迦の教え(仏法)を知り、仏法の要点・肝要を知ること」を意味するものだったとされています。
日本では、「法要」というと次第に故人の供養(追善供養)のことを指すようになり、今日では一般的に、死者を弔う儀式を指します。この場合も、法事や仏事ともいいますね。
五体投地
「五体投地(Prostration)」は、胸の前で合わせた両手を頭上、口元、胸と動かした後、五体、すなわち両手・両膝・額を地面に投げ伏し、地面にうつぶせになって手を前に伸ばす礼拝方法です。仏教において最も丁寧な礼拝方法の一つとされ、対象への絶対的な帰依を表します。
古代インドでは、尊者の足下にひざまずき、頭の先を地に付け、両手で相手の足先を手に取り額に接触させることが最高の敬礼方法とされていました。仏教においても仏の両足に頭を付けることを仏足頂礼といい、五体投地の場合は両手両足すべてを地に付けて礼拝します。
チベット密教においては、五体投地による礼拝をしながら少しずつ前に進んでいき、聖地へ巡礼します。僧院(ゴンパ)を見学している際に、もしかすると、勤行や修行に入る僧侶や檀信徒が本尊の前で五体投地で礼拝している姿を見れるかもしれません。
なお、五体投地を行う回数は、3回や12回、あるいは煩悩の数と同じといわれる108回が一般的には知られています。日本でも、天台宗や真言宗、黄檗宗や浄土宗で行われる礼拝方法です。
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鳥葬
「鳥葬(Sky burial)」は、チベット高地に住むチベット人にとって最も一般的な葬儀のかたちとされています。
「魂は生まれ変わって永遠に継続するため、魂が抜けたあとの死体は抜け殻にすぎない」という考えから、死んだあとの肉体はすべて鳥に捧げて食べさせるという信仰が生まれたそうです。また、他の生命を食べて生きてきた人間の肉体を、他の生命に布施として還すという意味もあるようです。昔から、「人は亡くなると鳥になる」という考え方は各地にあったようで、神話などで死者が鳥となって去っていくというモチーフもあります。チベットにおいても、こうした信仰の一端として鳥葬が生まれたのかもしれませんね。
また、チベットの自然環境が理由で鳥葬が行われるようになった、という説もあります。チベットには大きな木があまり生えないため、火葬を行うための薪の確保が難しかった、そして、寒冷な気候のため、土が固く土葬のための穴が掘りにくい上、微生物の働きが鈍く分解が行われづらかったのです。
なお、今日でもチベット密教が色濃く残るインドのラダックでは、鳥葬ではなく火葬が行われています。「プルカン」と呼ばれる棺型の火葬場で荼毘に付され、遺灰の一部は「ツァツァ」と呼ばれる素焼きの器に入れられます。ツァツァはチョルテン(仏塔)の内部や村ごとの神聖な場所などに収められ、残りの遺灰は山や川にまかれるのが一般的です。
カタ
チベット密教圏ではよく見る、儀礼用の絹のスカーフを「カタ(Katag、Khata)」といいます。僧院(ゴンパ)への参拝や高僧との謁見、お祝いや出会い・別れのあいさつなどの場面で相手の首にかけることで敬意を示します。
僧院の仏像にかけられているほか、ホテルなどで”welcome”の意味合いで首にかけてくれることも多いですよ!
チベット密教の信仰方法 まとめ
ということで今回は、チベット密教におけるタルチョやマントラ、マニ車といった信仰方法をご紹介してきました!
知識として知ることはもちろん、今なおチベット密教の信仰が根付く地元チベットやネパール、インドのラダックやシッキム、ブータンなどへ旅行する際に知っておくと、僧院や寺院、宮殿跡への観光がもっと面白く興味深くなること間違いなしです!
ぜひこの記事を繰り返して読んでいただき、知識を深めてみてください。そしてこの記事でチベット密教や密教そのものに興味が出てきたという方は、歴史や宗派の種類なども知ってみてください。きっと”仏教らしくない仏教”であるチベット密教に、さらに惹かれるはずですよ!
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